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過敏性腸症候群(IBS)

過敏性腸症候群(IBS-Irritable Bowel Syndrome)は、血液検査や大腸カメラなどの検査をしても目に見える異常は見つからないのに、慢性的な腹痛や下痢、便秘が続く機能性の病気です。日本の成人の約10人に1人がこの病気に悩んでいるとされており、決して珍しいものではありません。特に20代から40代の働き盛りの世代や学生の方に多く見られ、大切な会議や試験の前など、緊張する場面でおなかの調子を崩しやすいのが特徴です。私たちは、伊東駅前にあるクリニックとして、通勤や通学の途中でおなかのトラブルに悩む多くの方々を診療してきました。おなかの不調が続くと「また痛くなったらどうしよう」という不安から外出が億劫になり、日常生活の質が大きく低下してしまいます。当院では、内科的な視点だけでなく、院長の公認心理師としての知見も活かし、心と体の両面からサポートを行っています。

過敏性腸症候群(IBS)の症状について

過敏性腸症候群の主な症状は、繰り返される腹痛と便通の異常です。単におなかが痛いだけでなく、排便の状況と密接に関係しているのがこの病気の大きな特徴です。具体的な症状の現れ方には、以下のようなパターンが多く見られます。

腹痛と排便の関係

多くの場合、おなかの痛みや不快感は排便することによって一時的に和らぎます。排便前に激しい痛みを感じ、トイレに駆け込むと痛みがおさまるという経験を繰り返す方が多くいらっしゃいます。こうした症状については「腹痛」のページでも詳しく解説しています。

便の形状と回数の変化

便の状態が不安定になるのも特徴です。急に激しい下痢に襲われることもあれば、何日も便が出ずに苦しむこともあります。下痢の症状が気になる方は「下痢」のページを、便秘が続く方は「便秘」のページもあわせて参照してください。

おなかの張り(腹部膨満感)

腸内にガスが溜まっているような感覚や、実際におなかが張って苦しいという訴えも多く聞かれます。特におならが出そうで出ない、あるいは頻繁に出てしまうといった悩みは、周囲に相談しづらく心理的な負担になることも少なくありません。

その他の全身症状

腸の症状以外にも、頭痛やめまい、疲れやすさ、不眠などの自律神経に関わる症状を伴うことがあります。これらは、脳と腸が密接に関係しているために起こる現象です。詳しい全身の不調については「倦怠感」のページを確認してください。

過敏性腸症候群(IBS)の原因について

過敏性腸症候群のはっきりとした原因はまだ完全には解明されていませんが、いくつかの要因が組み合わさって発症すると考えられています。現代の医学で有力視されている原因は以下の通りです。

脳腸相関(のうちょうそうかん)

脳と腸は、自律神経やホルモンを通じて常に情報をやり取りしています。ストレスを感じると脳がそれを感知し、神経を通じて腸に信号を送ります。この信号が過剰になると、腸の動きが激しくなりすぎたり、逆に止まってしまったりして、腹痛や便通異常を引き起こします。逆に、腸の不調がストレスとなって脳に伝わり、さらに症状を悪化させるという悪循環に陥ることもあります。

内臓知覚過敏

過敏性腸症候群の方は、腸の粘膜が非常に敏感になっています。健康な人であれば気にならないようなわずかなガスの溜まりや、腸の動きに対しても「痛み」として敏感に感じ取ってしまう状態です。これを内臓知覚過敏と呼びます。

腸内環境の乱れと感染性腸炎

食生活の乱れや、過去にかかった感染性胃腸炎(食中毒など)がきっかけで、腸内細菌のバランスが崩れたり、腸の粘膜に微細な炎症が残ったりすることがあります。これが神経を刺激し、長期的な不調を招くリスク因子となることが知られています。急な吐き気や下痢の経験がある方は「急性胃腸炎」のページもご覧ください。

心理的・社会的要因

過労や睡眠不足、人間関係の悩みなど、日常的なストレスは症状を誘発する大きな要因です。私たちは、患者さんがどのような環境で生活しているか、どのような場面で症状が出やすいかを丁寧にお伺いするようにしています。メンタル面でのケアについては「不安感・ストレス症状」のページで詳しくお伝えしています。

過敏性腸症候群(IBS)の病気の種類について

過敏性腸症候群は、便の状態によって主に4つのタイプに分類されます。ご自身がどのタイプに当てはまるかを知ることは、適した治療法を選択する上で非常に重要です。

下痢型

泥のような便や水っぽい便が続くタイプです。突然おなかが痛くなり、激しい便意を催すことが多いため、外出時にトイレの場所を常に確認していないと不安になる傾向があります。若い男性に多く見られるタイプです。

便秘型

便が硬くてコロコロしていたり、排便時に強くいきむ必要があったりするタイプです。排便後も便が残っているような感覚(残便感)があるのが特徴です。こちらは女性に多く見られる傾向があります。

混合型

数日間下痢が続いたかと思えば、その後しばらく便秘になるなど、下痢と便秘を交互に繰り返すタイプです。便通が予測しにくいため、食事や予定の管理が難しくなります。

分類不能型

上記の3つのタイプに明確に当てはまらないものの、腹痛やガス溜まりなどの不快な症状が続いているタイプです。どのタイプであっても、症状が長期にわたる場合は適切な介入が必要です。

過敏性腸症候群(IBS)の治療法について

当院における過敏性腸症候群の治療は、単に薬を出すだけではありません。生活習慣、食事、そして心理的なアプローチを組み合わせた多角的な診療を行っています。ご自身のライフスタイルに合った無理のない改善を目指しましょう。

薬物療法

症状を和らげ、日常生活をスムーズに送るための処方を行います。近年ではIBSに特化した新しい作用の薬が登場しており、多くの患者さんで症状の緩和が期待できます。

  • 下痢型への対応・・腸の過剰な動きを抑える薬(セロトニン受容体拮抗薬)や、腸内環境を整える整腸剤を使用します。
  • 便秘型への対応・・便を柔らかくして出しやすくする薬や、腸の動きを促す薬を適宜組み合わせて処方します。
  • 腹痛やガスへの対応・・腸のけいれんを抑える薬や、ガスを吸収して張りを抑える薬が効果的です。
  • 漢方薬の活用・・体質に合わせて、おなかの冷えを改善したり自律神経を整えたりする漢方薬を提案することもあります。

食事療法(FODMAP食)

近年注目されている食事療法にFODMAP(フォドマップ)制限があります。これは、小腸で吸収されにくく、大腸で発酵しやすい特定の糖質を控える方法です。以下の糖質を多く含む食品を一時的に控えることで、症状が劇的に改善する方がいらっしゃいます。

  • F(発酵性の糖質)
  • O(オリゴ糖・・小麦、玉ねぎ、豆類など)
  • D(二糖類・・牛乳、ヨーグルトなどの乳製品)
  • M(単糖類・・はちみつ、果物の一部など)
  • A(And)
  • P(ポリオール・・キシリトール、きのこ類など)

生活習慣の改善

規則正しい生活は、自律神経を整えるための基本です。朝食をしっかり摂って腸を刺激し、決まった時間にトイレに行く習慣をつけることが大切です。また、適度な運動は腸の動きを正常化させる効果が期待できます。

心理的アプローチ

ストレスが強い場合や、予期不安(また痛くなるのではないかという恐怖)が強い場合には、心理的なサポートが不可欠です。当院の院長は公認心理師の資格を有しており、内科医としての知見に加え、メンタル面への配慮も欠かしません。必要に応じて心身の緊張をほぐす方法をアドバイスいたします。心因性の不調については「自律神経失調症」のページも参考にしてください。

過敏性腸症候群(IBS)についてのよくある質問

Q1. 検査で異常がないと言われたのですが、本当に病気なのですか?

A1. はい、れっきとした「機能性疾患」という病気です。血液検査やカメラに写るような傷や腫れはありませんが、腸の動くスピードやセンサーの感度が異常になっている状態です。決して気のせいではありませんので、我慢せずにご相談ください。

Q2. 完治することはありますか?

A2. この病気は、症状が良くなったり(寛解)、再び悪化したりを繰り返す性質があります。完全に症状をゼロにして二度と出ないようにすることを目指すよりも、食事や薬で症状をうまくコントロールし、日常生活に支障がない状態を維持することが現実的な目標となります。

Q3. 市販の整腸剤を飲んでも治りません。

A3. 市販の整腸剤も一定の効果はありますが、過敏性腸症候群には、腸の神経に直接働きかける専用の処方薬がより効果的な場合があります。タイプによって合う薬が全く異なるため、医療機関で診断を受けることをおすすめします。

Q4. 学校や会社を休むほどの痛みがあるのですが、受診すべきですか?

A4. 生活に支障が出ている場合は、迷わず受診してください。また、体重が急激に減った、血便が出た、発熱があるなどの症状を伴う場合は、潰瘍性大腸炎やクローン病などの別の病気が隠れている可能性もあるため、精密な検査が必要です。

院長より

「また電車の中で痛くなったらどうしよう」「トイレが近くにないと怖くて外出できない」といったお悩みを抱えていませんか。過敏性腸症候群は、命に関わる病気ではありませんが、抱える不安や不自由さは非常に大きいものです。周囲からは「ただの腹痛」と思われがちですが、その苦しみはご本人にしかわからない深刻なものです。

私たちよこやまファミリークリニックでは、こうした目に見えない不調に対して、じっくりとお話を伺うことから始めています。私自身、救急科専門医および認定内科医として多くの重症疾患を診てきた経験がありますが、同時に公認心理師として、心の状態がいかに体に影響を与えるかも深く理解しています。伊東駅前という通いやすい場所で、皆さまが安心して「おなかの悩み」を相談できる場でありたいと考えています。

当クリニックでは、一般的な内科診療はもちろんのこと、生活指導や食事のアプローチも重視しています。もしもおなかの不調でお困りなら、一人で悩まずにぜひ一度足を運んでみてください。私たちは、あなたが自分らしい生活を取り戻せるよう、精一杯お手伝いをさせていただきます。予約なしでの急な受診にも柔軟に対応いたしますので、どうぞお気軽にご来院ください。

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