逆流性食道炎(GERD)
逆流性食道炎(GERD)は、胃の中で消化を助けるはずの胃酸が食道へと逆流し、食道の粘膜に炎症を引き起こす病気です。正式には「胃食道逆流症(GERD-Gastroesophageal Reflux Disease)」と呼ばれ、現代の日本人にとって非常に身近な疾患の一つとなりました。静岡県伊東市の伊東駅前にある当院でも、胸やけや胃の不快感を訴えて来院される患者さんが増えています。
本来、胃の粘膜は強力な酸から守られていますが、食道の粘膜は酸に弱いため、逆流が繰り返されると炎症が起こり、ただれや潰瘍が生じます。食生活の欧米化や加齢、ストレスなど原因は多岐にわたり、放置すると食道が狭くなる「食道狭窄」などのリスクを伴うこともあります。私たちよこやまファミリークリニックでは、患者さん一人ひとりのライフスタイルに合わせた丁寧な診療を心がけています。
当院はJR伊東駅から徒歩1分の場所にあり、お仕事帰りや買い物のついでに立ち寄りやすい立地です。救急科専門医および認定内科医としての経験を活かし、急な体調不良から長引く胃腸の悩みまで幅広く対応しております。胸のムカムカやのどの違和感など、気になる症状がある方は、無理に我慢せず一度ご相談ください。
逆流性食道炎の症状について
逆流性食道炎の症状は、単なる「胸やけ」だけではありません。胃酸が逆流する範囲や程度によって、多岐にわたる症状が現れるのが特徴です。臨床の現場では、患者さん自身が「胃の病気」とは気づかずに、のどの痛みや咳の相談で来院されるケースも少なくありません。
典型的な消化器症状
- 胸やけ・・みぞおちから胸の下あたりにかけて、焼けるような熱い感じや、じりじりとした痛みを感じます。
- 呑酸(どんさん)・・口の中に酸っぱい液体や苦い水が上がってくる感覚で、不快な味が広がります。
- 胸の痛み・・胃酸の刺激によって胸が締め付けられるような痛みを感じることがあり、心臓の病気と間違われることもあります。
- 食後の不快感・・食事をした後に胃が重たくなったり、食べ物がいつまでも残っているような感じがしたりします。
お口やのど、呼吸器に現れる症状
- のどの違和感・・のどに何かが詰まっているような感じ(ヒステリー球とも呼ばれます)や、いがいがする不快感が続きます。
- 慢性的な咳・・逆流した胃酸が気道を刺激したり、食道の神経を介して反射を起こしたりすることで、長引く咳の原因になります。
- 声がれ・・胃酸が声帯付近まで達すると、声がかすれたり、出しにくくなったりすることがあります。
- 口内炎や虫歯・・強い酸が口の中に及ぶことで、粘膜を傷つけたり、歯のエナメル質を溶かしたりすることがあります。
これらの詳細は、当院の「のどの痛み・違和感」のページや「胸やけ」のページでも解説しています。特に横になった時や、前かがみの姿勢をとった時に症状が強くなる場合は、逆流性食道炎の可能性が疑われます。
逆流性食道炎の原因について
なぜ本来は胃に留まるべき胃酸が逆流してしまうのでしょうか。そこには、胃と食道のつなぎ目の仕組みと、お腹にかかる圧力のバランスが関係しています。当院では、問診を通じて患者さんの生活背景に潜む原因を一緒に探っていきます。
下部食道括約筋の筋力低下
胃と食道の境目には「下部食道括約筋(LES)」という筋肉のベルトがあり、普段はここが締まって逆流を防いでいます。しかし、加齢や食生活の乱れによってこの筋肉が緩むと、胃酸が食道へ漏れ出しやすくなります。これは加齢だけでなく、アルコールや喫煙の習慣によっても引き起こされることが知られています。
腹圧の上昇(お腹への圧迫)
- 肥満・・特にお腹周りの脂肪(内臓脂肪)は胃を外側から圧迫し、中身を押し上げる原因となります。
- 姿勢の悪さ・・猫背や前かがみの姿勢、長時間同じ姿勢で座り続けることは、腹圧を高めてしまいます。
- 衣服の締め付け・・ベルトやコルセットなどで強くお腹を締めることも、逆流を誘発する一因です。
- 妊娠・・お腹が大きくなることで物理的に胃が圧迫され、多くの妊婦さんが胸やけを経験されます。
胃酸の出しすぎと消化の遅れ
脂っこい食事や甘いものの食べ過ぎ、食べ過ぎそのものが胃酸の分泌を過剰にします。また、胃の動きが低下して食べたものが長く胃に留まると、それだけ逆流のリスクが高まります。早食いや、寝る直前の食事も、胃に大きな負担をかけてしまいます。ストレスも自律神経を乱し、胃酸分泌を不安定にする大きな因子です。
逆流性食道炎の病気の種類について
逆流性食道炎は、内視鏡検査(胃カメラ)で見える炎症の状態によって、大きく二つのタイプに分類されます。症状の強さと、粘膜の傷の深さは必ずしも一致しないのが、この病気の難しいところでもあります。
びらん性食道炎型
内視鏡で見たときに、食道の粘膜に赤みや「びらん(ただれ)」、あるいは白い膜のような潰瘍がはっきりと確認できるタイプです。炎症が目に見える形で存在するため、診断がつきやすい状態です。この状態が長く続くと、食道が狭くなったり、細胞が変性したりすることがあるため、しっかりと治療を継続することが求められます。
非びらん性胃食道逆流症(NERD)
胸やけや呑酸といったつらい症状があるにもかかわらず、内視鏡検査では粘膜に明確な傷が見当たらないタイプです。これを「NERD(ナード)」と呼びます。近年、若い世代や女性に多く見られる傾向があり、食道の過敏性やわずかな酸の逆流が原因と考えられています。検査で異常がないからと放置せず、症状を和らげるための的確なアプローチが必要です。
当院では、内科全般を扱う「総合内科」の診療において、これらのタイプを見極め、それぞれの患者さんに適した治療法を選択しています。
逆流性食道炎の治療法について
治療の二本柱は「お薬による治療」と「生活習慣の改善」です。お薬で今のつらい症状を抑えつつ、生活習慣を見直すことで再発しにくい体づくりを目指します。救急科専門医として多くの急性疾患を診てきた経験からも、日々の習慣の積み重ねが重要であると考えています。
お薬による治療
まずは過剰な胃酸をコントロールし、食道の粘膜を休ませることが第一歩です。
- プロトンポンプ阻害薬(PPI)・・現在広く用いられているお薬で、胃酸を作る蛇口を閉めるように、強力に酸の分泌を抑えます。
- P-CAB(ピーキャブ)・・新しいタイプのお薬で、PPIよりも素早く、かつ持続的に胃酸を抑える効果が期待できます。
- H2ブロッカー・・酸を抑える作用があり、比較的軽症の場合や、夜間の症状が気になる方に使われることがあります。
- 消化管運動改善薬・・胃の動きを助け、食べ物を速やかに十二指腸へ送り出すことで逆流を防ぎます。
- 粘膜保護薬・漢方薬・・食道の粘膜を保護したり、胃のムカムカ感を和らげたりするために補助的に処方します。
食事習慣の改善
バランスの良い食事と食べ方の工夫が、薬の効果をより高めてくれます。
- 避けるべき食べ物・・チョコレート、炭酸飲料、柑橘類、香辛料、脂っこい食事、アルコール、カフェインなどは胃酸を増やしたり括約筋を緩めたりします。
- 食べ方のルール・・腹八分目を心がけ、よく噛んでゆっくり食べましょう。早食いは空気を一緒に飲み込みやすく、腹圧を高めます。
- 就寝前の食事・・寝る前の2から3時間は食事を控えてください。胃に食べ物がある状態で横になると、重力の助けが得られず逆流しやすくなります。
日常生活の工夫
身の回りのちょっとした工夫で、症状が劇的に楽になることもあります。
- 寝る時の姿勢・・上半身を少し高くして寝る(背中から緩やかに傾斜をつける)と、物理的に逆流が抑えられます。左側を下にすると、胃の形状から逆流しにくいと言われています。
- 服装と姿勢・・お腹を締め付けるベルトや下着は避け、背筋を伸ばして過ごすように意識しましょう。
- 禁煙と体重管理・・タバコは逆流を促進する要因の一つです。また、少しずつ体重を落とすことは、胃への圧力を減らす根本的な解決につながります。
お悩みの方は、当院の「胃もたれ・胃痛」のページも参考にしてください。
逆流性食道炎についてのよくある質問
Q1. 市販の胃薬を飲み続けていても大丈夫ですか?
A1. 一時的な症状緩和には役立ちますが、根本的な原因が解決していない場合、症状を繰り返したり、悪化させたりする可能性があります。また、胃がんや他の重大な病気が隠れていることもありますので、長引く場合は一度医療機関を受診してください。
Q2. 症状がなくなったら薬はやめてもいいですか?
A2. 逆流性食道炎は非常に再発しやすい病気です。自分だけの判断で急に薬をやめると、症状がぶり返すことがあります。医師と相談しながら、徐々に量を減らしたり、必要時だけ飲むように切り替えたりしていくことが大切です。
Q3. 胃カメラ(内視鏡検査)は絶対に受けないとダメですか?
A3. 必ずしも全員に必須ではありません。しかし、症状が長引く方や、40代以上で初めて症状が出た方、貧血や体重減少がある方などは、他の病気がないか確認するために精密な検査をおすすめしています。当院では患者さんの不安に寄り添い、検査の必要性を丁寧にご説明します。
Q4. 運動はしてもいいのでしょうか?
A4. 適度な運動は肥満解消につながるため長期的には良いことですが、食後すぐの激しい運動や、お腹を強くひねる・圧迫する動作は逆流を誘発します。ウォーキングなどの軽い有酸素運動をご自身の体調に合わせて取り入れてください。
院長より
「たかが胸やけ」と思って我慢を続けていませんか。逆流性食道炎は、命に関わる急病ではないかもしれませんが、毎日の食事が楽しめなかったり、夜中に目が覚めてしまったりと、生活の質(QOL)を大きく損なう病気です。私たちよこやまファミリークリニックは、伊東駅前という利便性を活かし、地域の皆さんが「ちょっとおかしいな」と思った時にすぐ相談できる場所でありたいと考えています。
私は救急科専門医として、一分一秒を争う現場で多くの患者さんと接してきました。その経験があるからこそ、日常の小さな不調がどれほど大きなストレスになるか、そして早期に適切な処置をすることの大切さを痛感しています。また、当院は認定内科医として、お薬の処方だけでなく、食生活の具体的なアドバイスなども丁寧に行っています。
伊東市にお住まいの方や通勤・通学で駅をご利用になる方々が、毎日を笑顔で過ごせるようサポートするのが私たちの役目です。当院は、お子さんからお年寄りまで安心して通っていただけるよう、やわらかい雰囲気づくりを大切にしています。胃の不快感やのどのイガイガでお困りでしたら、どうぞリラックスして私たちにご相談ください。一人ひとりに適した解決策を、一緒に見つけていきましょう。
